単刀直入に言うが、俺は本番にすこぶる弱い。
無駄に緊張するし、極端に萎縮してしまうので、本番で思うような結果を出せたことがほとんどない。
過去に本番で上手くいったことなくはないが、おそらく奇跡的な運が味方してくれただけだと思っている。
というのも俺自身、本番で自分の実力を十二分に発揮できた経験が圧倒的に少なく、本番になると自分の実力の半分以下しか出せなくなってしまうタイプの人間なので、自慢ではないがプレッシャーに押し潰されることは容易い。
そんな絵に描いたような本番に弱い人間の典型である俺が芸人として成就するためには少なくとも本番で練習通りのパフォーマンスを発揮できるようになる必要がある。
というわけで今回は俺なりの本番に強くなる方法を紹介していきたい。
過去のトラウマ
昔っから本番に弱いことは自覚していて、学生時代の部活の試合では練習では出来ていたことが出来なくて、当時は「なんで思うように身体が動かないの?」なんて不思議に思っていた。
極みつけは24歳の理学療法士時代に生まれて初めて大勢の人の前で学会発表をしたのだが、そのときの俺の醜態っぷりったらありゃしない。
足はガクガクで地に足が着いてない感覚だし、言葉はカミカミで自分でもちゃんと喋れているか分からない状態だった。
元々、人前に立つのは得意ではないが、これほどまでに俺が人前で思うように喋れないのかが露呈した出来事はないし、あのときほど自分に落胆した記憶は過去を遡ってもない。
吃音という厄介な存在
言い忘れたが、そもそも俺は吃音があるせいで流暢に喋れないので、人前で話すことにとても苦手意識を持っているし、おそらく常人以上に緊張する。
本番に弱いのは吃音のせいだけではないが、元々俺は人の感情に敏感で落ち込みやすいほうなので、吃音が緊張しいに拍車をかけている気がしている。
一時は吃音が原因でメンタルブレイクしそうになったことも多々あるが、今は昔よりは吃音が改善されてはいるので、俺を担当してくれた吃音専門の言語聴覚士には感謝しかない。
まあとはいえ吃らなくなったわけではないので、今でも自分の名前を言ったり電話などは吃りそうになるし、特に人前なんか吃音が暴走するのは避けられない。厄介極まりない。
反骨と逃避のダブルパンチ
「人前でも堂々と立って喋れるようになりたい。」
人前で話せなかった経験から俺はそう思った。
自分のポリシー的に人前で思うように喋れない自分が物凄く嫌だったし「あんな醜態を晒しておいて終われるか!」という反骨精神と「もうやりたくない…」という逃避思考が入り混じっていて、最終的には反骨心が勝って悔しい以外の何ものでもない感情になった。
今までに色んな緊張する場面を経験してきたが、人前で喋れないことがなぜか無性に悔しかった。
なぜこんなにも人前で話すプライドが高いのかは自分でもよく分かっていない。
恥ずかしいけど目立ちたいという矛盾した感情が俺の心の状態を表している。
本番で力を発揮させたい
いくら悔しがったところで人前で喋るときの緊張は容赦なく降り掛かってくる。
そんな必要以上に緊張してしまう俺が人前で堂々と喋るためにはどうすればいいのか?
極論、場数を踏むしかないという結論に至った。
個人的に場数を踏むことでしか緊張下での自分をコントロールする術はないと思うし、人前での経験値を積むことで耐性をつけることが一番の近道だと思っている。
緊張をもって緊張を制す
そんなわけで緊張を正面から受け止めることでしか本番に強くなる方法はないと思っているのだが、これは俺自身の経験則からも言えることである。
先ほど話した学会での醜態だが、これは回を重ねるごとに改善されていき、最終的には自分でも「まあまあ上手くいったんじゃね?」と思うことができて、今でも俺の数少ない成功体験として心に刻まれている。
そして今では死ぬほど人前が苦手だったが今はそうでもない。
緊張はするが、昔ほどのフワフワした感じにはならない。
毒をもって毒を制するではないが、やはり緊張をもって緊張を制するしかないと思った次第。
緊張することは悪くない
そもそも緊張は悪いものではない。
というのも緊張は自分が成功させたいとか結果を残したいと強く望むほど緊張は強くなる。
詰まるところ、どうでもいいときは緊張しない。
俺自身、今までに幾度なく緊張を抑え込むを試しては失敗してを繰り返しているので、緊張しているときは緊張しているというのを自覚したほうがいい気がしている。
緊張してるのに緊張してないとか、緊張したら駄目だとか思うと、自分に余計なプレッシャーが加わり緊張に拍車がかかるので、素直に緊張しているというのを認めたほうが楽になる。
そしてその緊張を乗り越えることで人として一皮剥けることができる。
緊張という名の経験値
だからこそ緊張から逃げてはいけない。
「失敗してもいいんだ」とか「死にはしない」とか逃げ道を作ってる時点で本番には強くならない。
付け焼き刃的に自分にかかるプレッシャーを減らしたり、自分が少しでも楽になる方法を考えてしまっては勿体無い。
緊張に対する経験値は緊張からしか積まれていかないので、なるべく自分が抱えている緊張を小さくするようなことは行為はRPGでいうところの敵のレベルを下げることに等しい。
緊張を倒すことで得られる経験値を極力、減らしたくない。
そして願わくば俺もこんなマインドになれたら万々歳。
緊張はレベルアップの材料
今回は俺なりの本番に強くなる方法を紹介したが、結局のところ経験を積むしかないというなんとも無骨な根性論に行き着いた。
緊張という刺激に慣れさせることでしか本番に強くなる方法はないのではないかと思った。
俺が思うに人は緊張には勝てない。
事前に準備したり直前に練習することで緊張に打ち勝てると思ってた時代もあったが、それはただただ自分の心を落ち着かせてるだけに過ぎないことに気づいた。
緊張によって不安になることを恐れてはいけない。
緊張は自分がレベルアップするための材料。