俺は人に何かを教えたり、説明することが苦手ではない。むしろ得意なほうかもしれない。
分かりやすく噛み砕いて伝える能力は人並み以上だと自負している。
というのも俺は理学療法士として働いていたので、患者さんに病気の説明をするのは日常茶飯事だった。
医療用語を一般用語に変換するのは勿論、患者さんの症状や病態について納得のいく説明をしたり、たわいもない雑談したりなど話をすることに関しては少しばかりの自信がある。
というわけで今回は理学療法士直伝の惹き込まれる話の真髄を紹介したい。
自分が最も理解してる
まずは自分が一番、詳しい状態でないと話にならない。
大前提として分かりやすく話すためのノウハウを知る前に自分が話す内容は事細かに理解していなければならない。
自分が扱う情報について十分理解していなければ、そもそも分かりやすく説明することは不可能。
当たり前だが自分が話す内容ぐらいは熟知しておかないと戦えない。
意外とここが疎かになっている場合が多い。灯台下暗し。
相手の反応を見る余裕を作る
これは言い換えれば自分にも余裕がある状態である。
相手の反応を見る余裕と自分の心の余裕の大きさは等しい。
自分の心に余裕があることで相手の反応を伺いながら話を進めていくことができる。
自分の心に余裕がないと知らないうちに自分のターンばかりになっていて、相手の反応を見ることなく話が終わってしまう。
分かりやすい話のバロメーターは相手の理解度や伝わってる度合いで決まるので、相手と歩幅を合わせて話すことは分かりやすく話す第一歩である。
自分の心に余裕を持たせる
まあでも最初から相手の反応を見る余裕はないと思うから、こればっかりは練習あるのみ。
練習を積んで本番を迎えてトライアンドエラーを繰り返すことで自分の心に余裕が生まれる。
この余裕が相手の反応を伺う余裕となり、状況を把握しながら説明をする礎となる。
ベタなことを言わせてもらうと話のキャッチボールをする感じである(超絶ベタ)
抽象的な内容で「たしかに」と言わせる
ようやくここから本記事のメインディシュに入るわけだが、話の初手はざっくりとした抽象的な内容で一旦、相手を惹きつける。
理学療法士がよく使うところの「筋力が弱い」とか「関節が硬い」といったような一般的で万人受けするよな広く浅い内容で話のベースの味を決める。
話の出汁取りをする感覚。ここで狙うべき相手の反応は「たしかに」と言わせることである。
要は共感してもらうことができればオッケーなので相手が「たしかに」と言えば言うほど聞く耳を立ててくれるに違いない。
抽象的な内容でなんとなくのイメージを植え付けさせれば、相手は耳をダンボにするはず。
具体的な内容で「なるほど」と言わせる
抽象的な内容で相手からの共感を得ることができたら、お次は具体的な内容で話の味を際立たせる。
つまり狭く深い内容が味を決める。
論文の情報や自分の経験などの論理的でかつ現実的な内容で本格的に話の味付けをしていく。
抽象的な内容で「たしかに」と言わせたら、今度は具体的な内容で「なるほど」と言わせて相手を納得させていく。
つまり相手を信じさせることができれば、その時点で自分が伝えたい話の内容は相手に伝わっている。
「なるほど」と言わせるために具体的な内容で信憑性を持たせていき、話にリアル感を与えていくことで自ずと相手の口はあんぐり開いてくる。
例えを入れて話全体をキュッとさせる
基本的には「たしかに」と「なるほど」のコンビネーションで十分、分かりやすい話になっているが、時には例えで話全体をキュッとさせる必要がある。
例え話で話全体がキュッとなることで、話の理解度が格段に上がる。
話がさっきより分かりやすくなり、自然と自分の中で腑に落ちる。
完成間近のジグソーパズルのピースが埋まった感覚と似ている。
例え話をするとしないのでは相手の理解度に差が出るのだが、そもそも例え話はハードルが高いので無理に例え話を使わなくていい。
「たしかに」と「なるほど」をバランス良く使えていれば、相手に自分が伝えたい話の内容の大半は伝わっているはずだが、もし万が一伝わってなかった場合は例え話で挽回できる可能性があるので使えるに越したことはない。
例え話のコツは共通点探し
どうしても例え話を駆使したいのであれば、まずは物事の共通点を探すことが一番の近道かもしれない。
例えが上手な人は複数の物事から共通点を瞬時に見出す謎掛けのようなことが得意な人が多いからである。
ちょっとここらで俺の実力を少々…
”例え話”と掛けまして”武道”と解きます、その心は…どちらも”例”(礼)から始まります(要した時間30分)
共感と理解のワンツーからの例えでフィニッシュ
というわけで今回は分かりやすく話をする術を紹介したが、基本の型は「たしかに」と「なるほど」のコンビネーションで術中に填めていく。
そして可能であれば例え話を発動させることができれば、その時点で相手はKO寸前である。
極論、分かりやすい話の特徴は抽象的な内容と具体的な内容のバランスが絶妙である。この感覚を体得することが分かりやすい話をする第一歩。